クレジットカードに付帯する保険の種類・メリットデメリット

ご存知の方も多いと思いますが、多くのクレジットカードには付帯保険と呼ばれる様々な保険が付いています。

クレジットカードによって保険の種類や保険内容、適用条件などは様々ですが、 保険料がクレジットカードの年会費に含まれている場合がほとんどで別途費用がかからない事から、 保険を厚くしたい為にクレジットカードを作る人も居るほどです!

今回は、クレジットカード付帯保険にはどのようなものがあるか、 また実際に保険を使用する場合の注意点などを紹介していこうと思います。

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クレジットカードに付帯する主な保険

クレジットカードによって付帯する保険の種類は様々ですが、最も良く知られているものは『海外旅行傷害保険』と『国内旅行傷害保険』の二つでしょう。

また、クレジットカードの紛失や盗難で運悪く第三者に不正に利用された場合に、 その損失分を補償してくれる『紛失・盗難保険』も大抵のカードに付帯していますので、知っている人も多いと思います。

他にも、クレジットカードで購入した商品が盗まれたり壊れたりした場合に、新しい商品代金や修理代を補償してくれる『ショッピング保険』や、 ユニークな保険としては飛行機が遅れてしまった時の損害を負担してくれる『航空機遅延保険』というものもあります。

ここに書いた保険は、クレジットカードの年会費に含まれている場合がほとんどの為、使えるシーンがあるなら使わない手はないですよね。

海外旅行で頼りになる!クレカ付帯の海外旅行傷害保険の内容

海外旅行に行く方は、大抵海外で何かあった場合に備えて空港等で海外旅行保険に入ると思いますが、 この保険に近い内容のものが、クレジットカードの海外旅行傷害保険として付帯されている場合があります。

クレジットカードに海外旅行傷害保険の付帯がある場合、別途保険に入らなくてもとりあえずの補償はありますので、とってもお得ですよね! では、実際に空港等で加入する海外旅行保険単体の商品と、クレジットカード付帯の海外旅行傷害保険の違いを見てみたいと思います。

ジェイアイ傷害火災保険株式会社
旅行期間別プラン(7日間)
JCBゴールドカード
傷害死亡1,150万円5,000万円(利用条件あり1億円)
傷害後遺障害1,150万円5,000万円(利用条件あり1億円)
疾病死亡800万円
治療・救援費用2,000万円300万円(救援者費用として別途400万円)
疾病応急治療・救援費用300万円300万円(救援者費用として別途400万円)
入院一時金10万円
個人賠償責任1億円1億円
携行品損害20万円50万円
旅行事故緊急費用5万円
緊急歯科治療費用10万円
日本語ガイド等費用100万円
付帯条件契約により自動付帯
費用7日間で8,000円年会費に含まれる為無料

この表は、ジェイアイ傷害火災保険株式会社の旅行期間別プランとJCBゴールドカードの海外旅行傷害保険の内容を比較したものです。

クレジットカード付帯の保険よりも保険会社が出している保険の方が内容が良いイメージがありますが、 決してそんなことはありません。特に傷害死亡、傷害後遺障害はクレジットカード付帯の補償金額の方が上回っています。

しかし、細かなところを見ていくと、ジェイアイ傷害火災保険株式会社の方が細かな点で使い勝手が良いところもあります。 やはり餅は餅屋です。

例えば『日本語ガイド等費用』。 これは、事故に遭った際にホテルなどから医療機関までの移動や各種手続きに、日本語が話せるガイド等が付き添う費用を補償するものです。 渡航先にもよりますが、海外ではほとんどの場合日本語が通じませんので、いざという時は助かります。

但し、ツアーの場合は英語が話せるツアーガイドが同行する場合が大半ですし、 何人かで旅行に行く場合は誰かしら英語が話せる状況も多いと思いますので、こういったケースではあまり必要ない保険です。

『緊急歯科治療費用』とは文字通り歯科治療費のことですが、何故歯科治療だけ項目が別になっているかと言うと、 歯科治療は疾病治療費用の補償対象外であることが多いためです。

日本ではあまりイメージが沸かないと思いますが、海外での歯科治療費は日本の3~10倍程度かかる事が普通です。 例えば、海外旅行中に虫歯が痛くなり抜歯することになった場合、日本では保険が適用されて6,000円程度で済みますが、 アメリカでは100,000円以上という高額な治療費が請求される事もあります。

このような理由で、ジェイアイ傷害火災保険株式会社をはじめ、海外旅行保険単体の商品では『緊急歯科治療費用』が別途設定されているのです。

ちなみにJCBゴールドカードの付帯保険には、歯科治療費に該当するものがありません。 但し、虫歯治療中だったり歯の病気にかかっていない人にとってはそもそも必要のない保険の為、個人的にはあっても無くても良い保険と感じます。

クレジットカードの海外旅行保険は、クレジットカードに付帯するおまけのようなイメージですが、 上記の比較からもわかる通り、海外旅行保険単体の商品と比較しても、大きな欠点は無く、 むしろ保険料がクレジットカードの年会費に含まれている事を考えるととってもお得ですよね!

但し、『日本語ガイド等費用』や『緊急歯科治療費用』など、クレジットカードの海外旅行保険でカバーできないものがある事もまた事実。 こういった部分は、他の保険を併用してカバーすると良いでしょう。

意外と使える!?クレカ付帯の国内旅行傷害保険の適用範囲は…

海外の旅行と違って、国内の旅行で単体の保険に加入する人はあまり居ないと思いますが、 クレジットカードによっては国内旅行傷害保険が付帯されている場合があります。

今回もJCBゴールドカードを例に保険内容を確認してみます。

死亡・後遺障害最高5,000万円
入院費日額5,000円
※8日以上の治療から
通院費用2,000円
※8日以上の治療から
手術費用入院日額×倍率(10倍、20倍、40倍)
※8日以上の治療から
付帯条件自動付帯

実際のところ、国内旅行傷害保険が使えるケースというのはそれほど多くありません。 ほとんどのクレジットカードでは、以下の3パターンでのみ保険が適用されます。

  1. 被保険者が日本国内を旅行中、乗客として公共交通乗用具の搭乗中に傷害を被った場合
  2. 被保険者が日本国内を旅行中、旅館、ホテル等の宿泊施設に宿泊者として滞在中に、火災・爆発事故により傷害を被った場合
  3. 被保険者が宿泊を伴う募集型企画旅行の参加中に傷害を被った場合

具体的なケースで言うと、国内旅行のホテル宿泊中に、そのホテルで火災が起こった場合や、 旅行中の移動でタクシーを使っていて事故に遭った場合などが該当します。

ただ、このようなケースであれば、ホテルなりタクシー会社から補償されるのが一般的で、 クレジットカードに国内旅行傷害保険が付帯されていたとしても、それを使えないケースも少なくありません。

このように、クレジットカード付帯の国内旅行傷害保険はそれほど必要となるケースはありません。 しかし、いざという時には頼りになりますので、補完的なお守りのようなものと考えておくべきでしょう。

クレカ付帯の紛失・盗難保険って、どんな時に何が補償されるの?

『お財布に入れていた筈のクレジットカードが見当たらない!』あなたもこんな経験が一度や二度はあるのではないでしょうか?

大抵はお財布から出てカバンの中で発見されたり、定期券の中に入っていたり、という場合がほとんどだと思いますが、 中には『クレジットカードを落として、他人に勝手に使われてしまった!』という場合もありますよね。

こんな時、クレジットカードの紛失・盗難保険が役に立ちます!

まず前提として、紛失・盗難保険は特に明記されていない場合でも100%のクレジットカードに付帯されています。 年会費無料のカードや、ポイントカードと合体しているようなクレジットカードでは大きく謳っていない場合もありますが、 どんなクレジットカードでも付帯されていますので、安心してください。

『紛失・盗難保険』の補償内容は非常にシンプルで、『第三者によって不正にカードを利用されて被った損害を補償してくれる』というものです。 仮に、不正にカードを使用した第三者が誰かわからない場合でも補償されますので、現金を持ち歩くよりもずっと安心感がありますね!

但し、『紛失・盗難保険』を悪用すると、『クレジットカードを紛失した!』と言いながら、実は紛失しておらずに自分で商品を買っていたり、 知り合いにクレジットカードを使わせる、といった悪事を働く事もできる為、保険適用条件が厳しく定められています。

以下に、主要なクレジットカードの『紛失・盗難保険』の適用条件を記載しますので、いざという時に保険が適用されない事がないよう気を付けてください。

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紛失・盗難保険の補償対象になるのは、クレジットカード会社に紛失や盗難被害に遭ったと連絡した日から遡って60日(90日)以内

クレジットカードの紛失・盗難保険の適用期間ですが、紛失や盗難被害に遭ったと連絡した日から遡って60日です。 (クレジットカードによっては90日に設定されている場合もあります)

クレジットカードの紛失や盗難に気付いた場合は、すぐにクレジットカード会社に連絡を入れましょう。 クレジットカードを多く持っている人は紛失に気付かない場合もありますので、少なくとも月に一回は利用明細を確認して、 不正利用された場合は速やかに連絡することをお勧めします。

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紛失・盗難保険の補償対象になるのは、クレジットカード保持者に落ち度がない場合に限る

紛失・盗難保険はクレジットカード保持者に落ち度なく不正利用された場合に適用されるものです。 従って、以下のケースでは紛失・盗難保険の補償対象外となる可能性が高いです。

①クレジットカードを家族や友人に貸して、勝手に利用された

クレジットカードは所有者本人しか使用できません。 この為、もしクレジットカード所有者が他人にクレジットカードを貸して勝手に利用されてしまった場合は補償対象外です。

これは家族であっても同じです。もし家族にもクレジットカードを使わせたい場合は、『家族カード』を作ってそれを渡すようにしましょう。

②クレジットカードの署名をしていなかった

クレジットカード裏の署名欄にサインをするということは、カードの所有者本人であることを証明するものです。 従って、ここに署名がされていない場合は補償対象外となります。クレジットカードの裏面は忘れずに署名をしましょう。

③クレジットカードの紛失・盗難を警察に届け出していない

クレジットカードを紛失したと気付いた、または盗難被害に遭った場合は、警察へ届け出て紛失届の手続を行う必要があります。 この手続きを怠った場合、補償対象外となる可能性がありますので、注意して下さい。 もちろんクレジットカード会社への連絡も必須です!

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④メモっていたクレジットカードの番号、有効期限、セキュリティコードを紛失して不正利用をされた

いざという時や、家族がネットショッピングで使えるようにと、クレジットカードの番号、有効期限、セキュリティコードをメモっている人が居ますが、 こういった情報が漏洩して不正利用に繋がった場合、クレジットカード保有者の過失とみなされて補償対象外になる可能性があります。

近年のネットショッピングでは、クレジットカードの番号、有効期限、セキュリティコードさえあればクレジットカードが手元に無くても決済ができてしまう場合がほとんどです。 これらの情報は絶対に他人に渡らないよう、メモったり写真を撮って保存したりしないよう注意しましょう。

⑤不正利用の際に暗証番号が使われた

これはあまり知られていませんが、不正利用の際に暗証番号が使われた場合、紛失・盗難保険の補償対象とはなりません。 従って、クレジットカードのキャッシング枠を不正利用されたとしても、ほとんどの場合が紛失・盗難保険で補償されません。

クレジットカードのキャッシングを利用する場合、ATMでクレジットカードと暗証番号がセットで必要となります。 そして、暗証番号は一定回数間違えると、キャッシングの利用に制限がかかるようになっています。

つまり、キャッシングを不正利用されるケースというのは、悪意のある第三者がクレジットカードを手に入れて、 且つ暗証番号が電話番号の下4桁や生年月日といった第三者から容易に類推できそうな暗証番号に設定されているか、 あるいは暗証番号をメモって持ち歩いているかというケースに限られるのです。

同じ理由で、ショッピングの不正利用であっても、暗証番号が使われた場合は補償対象となりません。 (最近増えている、電卓のようなカードリーダにクレジットカードを刺して暗証番号を入力する方式のものです)

暗証番号を忘れてしまうという理由で、暗証番号に電話番号や生年月日を使っている人が多く見受けられますが、 この行為はクレジットカードの不正利用に弱いだけでなく、万が一の場合に補償対象とならない可能性が高い為、絶対にやめた方が良いです!

逆に言うと、暗証番号を類推されにくいものに設定し、しっかりと管理していれば、キャッシングで不正利用されることはほぼありません。 0000~9999までの一万通りを、数回の試行で当てる事は現実的に不可能だからです。

買ったばかりの商品が壊れてしまった!ショッピング保険でカバーできる範囲とできない範囲

購入した商品をすぐに落として壊してしまった…あなたもそんな経験はないでしょうか? しかし、その商品をクレジットカードで購入したなら、保険が適用されるかも知れません!

『ショッピング保険』とは、クレジットカードで購入した商品の破損や盗難を補償してくれる保険です。

この『クレジットカードで購入』というのが保険適用の条件の為、ショッピング保険が付帯されるクレジットカードを持っていても、 クレジットカードで決済していなければ適用されないので注意しましょう。

なお、ショッピング保険によって補償されるのは全額ではなく、免責と呼ばれる3,000円~10,000円程度の自己負担額が設定されている事が普通です。 それでも自分で修理したり買い直す事を考えると、だいぶ助かりますね!

ただし、ショッピング保険の適用を受けるのはやや面倒である感は否めません…

まず、ショッピング保険が適用されない商品というものが多くあります。例によってJCBゴールドカードで確認してみると、 会員が購入した物品であっても、次に掲げるものは補償の対象となりません。

  1. 船舶(ヨット・モーターボートおよび、ボートを含みます)航空機、自動車、原動機付自転車、自転車、ハンググライダー、サーフボード、セーリングボードおよびこれらの付属品
  2. 義歯、義肢、コンタクトレンズその他これらに類するもの
  3. 動物及び植物
  4. 現金、手形、小切手、その他有価証券、印紙、切手、乗車券等(鉄道・船舶・航空機の乗車船券・航空券・定期券・宿泊券・観光券および旅行券をいいます)旅行者用小切手およびあらゆる種類のチケット
  5. 稿本、設計書、図案、帳簿その他これらに準ずるもの
  6. 自動車電話、携帯電話およびこれらの付属品
  7. 食料品
  8. 会員が従事する職業上の商品となるもの

上記のものは補償の対象となりません。 個人的にこの中で一番痛いのは、(6)自動車電話、携帯電話およびこれらの付属品これですね。 私自身もスマホを良く落としますし、ガラスが割れたiPhoneを使っている人をよく見かけますが、ショッピング保険ではスマフォを落としても保険が下りないという事になります。

また、多くの人が見落としがちな点ですが、保険金の受け取りには「売上票(お客様控え)」が必要です。 つまり、『ショッピング保険の適用は実店舗で購入した商品に限られる』事になります。

インターネット上で様々なものが購入できる今の世の中で、実店舗で購入したもの、 且つクレジットカード決済の売上票(お客様控え)がないと保険金が受け取れないというのは、ちょっと使い勝手が悪いと言わざるを得ないですね!

また、クレジットカードによっては上記以外にも適用条件がある為、注意が必要です。 例えば三井住友VISAカードの場合、ゴールド・プライムゴールド、ヤングゴールド、エグゼクティブカードを除き、 『リボ・分割(3回以上)払い利用』という条件があります。つまり、一回払いでは対象とならないのです。

とは言え、大きな買い物をする時に、万が一の備えとして重宝するのは変わりありません。

ショッピング保険が適用される高額な商品を購入する場合は、 実店舗でリボ宣言をして購入し、売上票(お客様控え)は必ず取っておくようにしましょう。